点描
2023/08/26
井上ひさしさん作「闇に咲く花」
8月30日まで、東京で上演
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「闇に咲く花」の1場面(宮川舞子さん撮影)
 敗戦後の混乱時の庶民の姿を描いた、井上ひさしさん作の戯曲「闇に咲く花」が、「紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA」(東京都渋谷区千駄ケ谷5)で上演中だ。
 舞台は東京・神田。夫を亡くした5人の女性の協力を得ながらお面工場を経営する神社の神主のもとに、戦死したと思われていた一人息子が帰還した。記憶を失ったまま捕虜収容所で過ごしていたという。かつて野球部で活躍した伝説のエース。野球によって記憶を取り戻した息子が、再び記憶障害に陥った。C級戦犯の容疑をかけられて激しいショックを受けたのだ――。
 井上さんの「昭和庶民伝」3部作の第2弾。未来に引き継がれるべき記憶と日本の戦争責任に視点を置いた。初演(1987年)から引き続き演出を手がけた栗山民也さんは「日本の戦後という不確定の時代を問うこの物語は、私たちの現在につながれている」という。問い合わせは、こまつ座(03・3862・5941)。
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