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2025/08/16
<8月のまんが> いちにのさん! 何処へ跳ぶやら惨凄党
「天皇は元首」「国旗は日章旗、国歌は君が代」、「国は、自衛のための軍隊を保持する」、「国民は、子孫のために日本をまもる義務を負う」などの憲法案を掲げ、「日本人ファースト」「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」「無制限な外国人受け入れに反対」など高齢者と弱者切り捨て、外国人排外を叫ぶ参政党が、参議院に14議席を獲得して1カ月になる。この参政党の神谷宗幣代表が弱者切り捨て臨時国会の最終日となった8月5日、予算委員会で初めて石破首相に行なった質問は、トランプ大統領が表明する①DGs政策の廃止、②パリ協定離脱と脱炭素政策の廃止、③パンデミック対策の見直しとWHO脱退、④ウクライナ支援の見直し、⑤DEI(多様性・公平性・包括性)政策の廃止、⑥政府によるSNS規制の撤廃など「6つの政策」について「一緒に日本もやらないか」提案された事実はないかという、トランプ政策にへつらうものだった。次いで15日には「今日は朝から参政党の国会議員18名全員と地方議員70名の合計88名で靖国神社の昇殿参拝をし、千鳥ヶ淵の全国戦没者追悼式に参加してきました」と、憲法案を実践して見せた。「沖縄戦で日本軍は県民を守ってくれた」「南京大虐殺は無かった」「軍拡はむしろ安上がり」・・・同党の言動に驚き呆れるのだが、彼らが強調するように多くの国民の支持が寄せられたことも事実。しかしこれらの言動は、民主主義の歴史が築いてきた日本国憲法と、衆参で与党を過半数割れに追い込んできた国民世論について、無邪気なまでに無知であり、与党の延命または与党以上に凄惨な政治を呼び込む危険に満ちている。このことに早く気付こう! そんな思いを込めて描いた。2025/07/16
2025 <7月のまんが> 東西の排外菌を駆除しよう 鈴木 彰
核兵器禁止条約締約国会議の推進、日本被団協の「ノーベル平和賞受賞」など、世界は戦後80年に躍動している。他方で世界は、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのガザ・ハマスへのジェノサイド攻撃、これらを仲裁して「ノーベル平和賞」を狙ったがうまく行かないのでトランプ大統領がのイラン爆撃などが「第三次世界大戦」の危険を深めている。この大きな対決を前にして、いま日本では異常な動きが連発している。外国人への高額療養費を疑問視する発言で役職停止に追い込まれた国民民主党の玉木代表が、その後「高齢者医療、終末期医療の見直し=尊厳死の法制化」これらによって若い人の社会保険料給付を抑える」、それが「消費を活性化し、次の好循環と賃金上昇を生み」出すと発言。続いて参院選への公約として、維新の会が「現役世代1人あたりの社会保険料を年6万円引き下げる」ために「医療費を年4兆円以上削減する」「外国人比率の上昇抑制や受け入れ総量規制を含む人口戦略を策定し外国人政策を国家として一元管理する」と表明すれば、負けじと参政党が「天皇は元首」「国旗は日章旗、国歌は君が代」、「国は、自衛のための軍隊を保持する」、「国民は、子孫のために日本をまもる義務を負う」などの憲法案を掲げ、「日本人ファースト」「無制限な外国人受け入れに反対」と表明した。これらの高齢者・外国人排除は、力によって命と人権を排除する「排外主義」であり、それが行きつく所は、ロシア・イスラエル・トランプがすでに開始してしまっている「終末戦争」に他ならない。・・・・人類ではなく「排外主義」の絶滅を! 今月はそんな思いを描いてみた。
2025/06/16
<6月のまんが> 二代目の幕は上手に引けるやら 鈴木 彰
コメの価格が1年間で倍に跳ね上がって国民の暮らしを窮地に追い込んでいる。米価高騰を抑えようと政府備蓄米を「入札」で放出したが効果が見えない5月、この施策を担当する江藤拓農林水産大臣が佐賀市で開かれた政治資金パーティーで「私はコメは買ったことはない」と発言し、野党が内閣不信任決議案の提出・可決をチラつかせて批判を強める中で石破茂首相は21日、江藤氏を更迭し小泉進次郎農水大臣を任命した。政府米放出を「随意契約」に切り換えて大手流通企業とともに古米(七光り米)放出の「二代目小泉劇場」にマスコミも飛びついてその「効果」を吹聴すると、わずかながら内閣支持率がたかまったりもした。これに焦った国民民主党・玉木雄一郎代表が衆院農林水産委員会で放出米を「あと1年たったら動物のエサになるようなもの」と発言してSNSで謝罪する一幕も生じた。しかし、今日の米価高騰は、重化学工業中心の経済発展のために、長年にわたって減反や備蓄米で米作・農業・食料自給を破壊してきた経済・農業政策に原因がある。1955年に604万戸(3635万人)あった農家は2020年には何と174万戸(349万人)に激減させられたのだ。小泉氏は、2024年産の作況指数が「平年並み」で、「コメの生産量は足りている」と、備蓄米放出での価格操作で問題が解決するかのように言い切り、生産・流通の現場から「実態は異なり、収穫量は足りない」との指摘があっても「放出米が足りねば外米を輸入して放出するから大丈夫」「収穫量が足りないと言うなら作況指数などの生産統計を見直す」と語る。基本問題に触れず、彼特有のきっぱりした口調できっぱり語る「二代目劇場」の滑稽さを、今月は描いてみた。2025/05/17
<5月のまんが> 戦後史を笑うと負けよアップップ 鈴木 彰
近年、集団的自衛権の行使容認、安保法制(戦争法)強行、安保3文書などが、国会軽視の「閣議決定」先行で強行されてきた。5年間で43兆円もの大軍拡(防衛費倍増)、長射程ミサイルの大量配備など、歴史を80年前の軍国主義の時代に逆行させる動きが国民を襲っている。暮らし・福祉・社会保障を破壊する以外に財源はないから、国民にこれを受け入れさせるために国民の中に「欲しがりません勝つまでは」「進め一億火の玉だ」という風潮を育て、これを押しつけるためにアメリカの軍事力、大企業の金権にすがって、強権・腐敗・裏金を駆使した国民と野党の分断・抱き込みを謀ってきた。しかし国民はいのちと暮らしを度外視して強行される自・公政治に抵抗を続け、ついに昨年の総選挙では与党議席を「半数割れ」に追い込んだ。こうして迎えた「戦後80年」のいま、「少数与党」が頼りとするアメリカ帝国が、トランプ氏による国連憲章・国際法無視の「ガザの長期所有」「プーチンのウクライナ侵略容認」、「同時関税政策」など世界の安保・経済秩序の霍乱によって世界から孤立し、「少数与党」が命綱とする「日米同盟を基軸とする戦争国家づくり」も通用しない時代を迎えている。トランプの「関税アップ」攻撃が、中国の習政権の「反撃アップ」に遭遇して生じたアップ対アップの「にらめっこ」は、世界史の変わり目を象徴するように思われる。今月は、「少数与党」となってもなお大企業本位、アメリカ追随、金権腐敗にすがって、平和と民主主義、くらしと福祉の「おにぎり」を食い尽くそうとする身の程知らずの政治も視野に、過日「おにぎり」の食べ方で話題になった石破さんに解説役を担ってもらって、苦し紛れの戯作とする。
2025/04/13
<4月のまんが> トランプの作法をなぞる石破流 鈴木 彰
今年の1月にアメリカ大統領に就任したトランプ氏は、4年前の大統領選でバイデン氏に敗れたのを不当だと議事堂に乱入した時からの曲者だが、今期の就任以来「ガザ地区をアメリカが所有する」「鉱物へのアクセスと利益を得る提案をゼレンスキー氏が公に拒否した」「グリーンランドを購入する!」「カナダを51番目の州にする」「パナマ運河を取り戻す!」「日本は我々を守る必要がない」「DEI(多様性・公平性・包括性)政策をやめる」「パリ協定やOECDの国際課税ルールから離脱する」など、戦後の世界が築いてきた平和・安全・環境の国際ルールを踏みにじる動きを強めている。国際貿易機関(WTO)協定と貿易相手国の関税率や非関税障壁の成り立ちを無視して米国の関税を引き上げるという「相互関税」に一方的に踏み切った。このトランプ関税は「世界同時株安」を招き、巨額の損失を被った「政府効率化省」のイーロン・マスク氏が政策に意義を申し立て、慌てて政策の実施を90日間延期するなど大混乱が始まった。こうした暴走と混乱を前にして石破政権は、これらに抗議し、国際ルールに戻るよう働きかけるのではなく、かねがね日本の選択的夫婦別姓の実現を4回も勧告し、皇位継承を男系男子に限る皇室典範の改正を勧告してきた国連の女性差別撤廃委員会の資金封鎖をねらって、国連への拠出金を削減するという措置に出た。事前の話し合いも行なわず、いきなり相手に拳を振り上げる「トランプ流」の作法と、これに追随し無批判にこれをまねる「石破流」は、ともに大混乱から破綻の道をすすむに違いない。