/ 

2025/02/12
<今月のまんが> 日米は「同盟基軸」で何処へ行く   2025/2/12 鈴木 彰

61-s-1.jpg

 7日昼(日本時間8日未明)、米ホワイトハウスでトランプ大統領との初の首脳会談に臨み、緊張した硬い表情で頬を上気させて握手した石破茂首相。トランプ氏を「大統領閣下」と呼び、大統領選期間中の暗殺未遂事件直後のトランプ氏が星条旗を背に拳を突き上げる写真について「歴史に残る一枚」だと讃え、トランプ氏のが唱える「MAGA(米国を再び偉大に)」というフレーズを「忘れられた人々」に対する「深い思いやり」だと褒めたたえた。対米投資を150兆円に引き上げるなどと、国会で審議もしていないことを約束し、会談後の共同記者会見では「防衛費の増額などは米国に言われて日本がやることではなく、日本が自らの責任において決断すべきものだ」などと申し出た。トランプ大統領の機嫌を損ねず、その攻撃を回避したとして、100%評価するという野党もあるが、パリ協定離脱、核兵器禁止条約の敵視、「法の支配」の逸脱など、世界史を逆に戻すトランプ路線に一言の意見もいわず、日本国民に大増税・大軍拡を押しつける問題をサラリと受け入れて帰ってきた石破外交。アメリカ第一主義・覇権主義の古臭い鎧で身を固めたトランプ政権にべったりと貼りつく「日米同盟基軸」の外交は、いったいどこへ行くのだろう? 今月はそんな思いを描いてみた。
2025/01/16
<2025年1月のまんが> 日米韓が手に手を取って特殊詐欺?    鈴木 彰

60-s-1.jpg

 トランプ氏が今月20日に大統領に就任しますが、氏は数々の犯罪を犯した咎人(とがにん)です。ニューヨーク州地裁は昨年12月10日、不倫の口止め料を不正に処理した事件の裁判でトランプ氏に量刑を言い渡しています。昨年5月の有罪評決を維持しつつも収監や罰金を命じず、「無条件の釈放」としたものですが、トランプ氏は有罪評決を受けたまま大統領に就任することになります。またアメリカ司法省は、2021年に大統領選挙の結果を覆そうと議会乱入したトランプ氏を起訴しました(氏が次期大統領に決まったことを受けて取り下げられました)。さらにトランプ氏は「X」が「ツイッター」だった時代に、英国の極右活動家などとともに、投稿内容が危険とみなされ永久凍結されました。ツイッターの株を9%も持っている米実業家イーロン・マスク氏は、トランプ氏や英国の極右活動家などのアカウントを復活させました。マスク氏はツイッター株の大量取得を開示しなかったとして米証券取引委員会(SEC)から証券法違反で提訴されています。こうして「虎と翼」ならぬ「トラとマスク」が、アメリカの政治・経済をリードしようとしているわけですが、日本と韓国の「少数与党」が、「米日韓首脳会談」「合同軍事演習」等の連携にすがって退勢を挽回しようと動いています。ところが、日本の石破首相は「企業献金死守」「裏金隠し」の張本人、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「非常戒厳」宣言という軽挙によって「内乱罪の容疑者」(捜査している独立捜査機関「高官犯罪捜査庁(高捜庁)」と警察の合同捜査本部は15日、尹氏の身柄を拘束しました)。「日米韓の軍事的・経済的連携」もまた、数々の犯罪を犯した咎人たちによってかき回されています。「闇バイト」や「特殊詐欺」が世相を不安に陥れているが、これらも顔負けの「国際的な特殊詐欺」の様相を見せる「咎人たちの連携」に驚きあきれつつ、今月はこれを描いてみた。
2024/12/16
<12月のまんが> 丸呑みで少数与党を丸支え    鈴木 彰

59-s-1.jpg

 12月12日、2024年度「補正予算案」が衆院本会議で可決された。少数与党となった自・公与党だけではとうてい強行できない「軍拡と大企業支援」のための補正予算なのに、維新・国民民主が賛成し、審議入りからわずか4日間で可決したのだ。国民民主の賛成理由は、所得税の課税最低限103万円の引き上げ(補正予算案とは無関係)が自公と合意できたからと言う。維新にいたっては、自公と何も合意できていないが教育無償化の協議の「枠組み」ができたからと言い張っている。それぞれ理由をつけて、補正予算案を「丸呑み」することによって、自・公与党が企業・団体献金を正当化し、大企業に癒着して大軍拡と軍需経済を推進することを支えるものだ。自・公・維新・国民民主が、裏金づくりなどの政治倫理破壊も某党首の不倫もすべて棚にあげて、少数与党の弱みをカバーする「パーシャル(部分)連合」、企業の賄賂で動く大軍拡・大増税路線を擁護する「翼賛連合」でまとまったことが分かり易く明らかになった。今月はここに焦点を合わせて描いてみた。
2024/11/16
<11月のまんが> 不倫など一糸乱れず赦しちゃう?   鈴木 彰

58-s-1.jpg

「連合」主導の共産排除、政府の当初予算案に賛成した国民民主の共闘離脱、都知事選での石丸ブームによる分断攻撃など、数年がかりで執拗に仕組まれた「市民と野党の共闘」破壊は、立憲代表選で各候補に安保法制・立憲主義・暮らしと人権をめぐる「共闘の共通政策」否定の発言をさせ、これに怒るれいわに「オール沖縄」否定の行動をとらせるなど、共闘内に足並みの乱れを生じさせてきた。市民と立憲野党は総選挙に向けて、これらの問題についての十分な意見交換と合意形成を行なえないまま「超短期決戦総選挙」に突入せざるを得なかった。しかし裏金政治の真相を明らかにした「しんぶん赤旗」と共産党、「九条の会」をはじめ全国各地に蓄積してきた野党共闘の到達点などを力に、市民と野党は、直面した共闘の不全を補う新しいかたちの「直接・間接の共闘」を模索した。市民は自民党政治とたたかう個々の立憲野党へのサポート活動、「裏金・脱税自民党の議席を減らそう」「選挙に行って政治を変えよう」等の「ひとり街宣」運動をくり広げた。こうして第50回衆議院選挙は「与党議席の過半数割れ、改憲勢力議席の3分の2割れ」という画期的な国会を作り出した。国民の怒りと批判が「市民と野党の共闘」に発展する前に決着しようと就任8日後に石破新首相が仕掛けた「電撃解散・総選挙」は失敗したと言える。
 11月11日の特別国会は、決選投票で石破氏221票、野田氏160票、無効84票というかたちで第二次石破少数与党内閣を生んだ。維新・国民民主などが棄権票を投じた意図は「反自民」のふりをしながら石破政権の実現に協力することにあった。11日の朝、国民民主の玉木代表が「不倫しました、ごめんなさい」との突然の記者会見を行なったのには驚いたが、国会で28人の国民民主党議員が一糸乱れることもなく「玉木を総理に」という投票行動をつらぬき、自・公両党が翌12日に国民民主と「経済対策を巡る政策協議」を国会内で粛々と開催したのにはもっと驚いた。裏金や不倫などの不祥事を超えて、少数与党の弱みをカバーする「パーシャル(部分)連合」へのシナリオがすでに整っていたのだろう。今月はこの構図を描いてみた。
2024/10/13
<10月のまんが> どうしても世論の支持は得られない   鈴木 彰

57-s-1.jpg

 9月27日の自民党総裁選で石破茂氏が総裁となり、10月1日の国会で第102代首相の指名を受け石破内閣が発足した。石破氏は先の総裁選で茂木前幹事長や小泉選対委員長をはじめ高市前経済安保相ら大半の候補者とともに政策活動費(政活費)の廃止や透明化を言う中で石破氏も「廃止も一つの考え方」と述べ、首相就任の記者会見でも、経済対策や防災体制の強化、地方創生などへの注力、「国民に勇気と真心をもって真実を語る」、「謙虚で誠実で温かい政治を行っていく」、「納得と共感の内閣をつくる」などと述べて、国民に少なからぬ期待を与えた。
 ところがこの石破首相、就任から8日後の9日に衆院解散・総選挙を断行し、まず「納得と共感」の公約を投げ捨てた。さらに解散当日の党首討論で「政活費」は今回の総選挙でも「法律で許されている範囲内で適切に使う」として前言を翻した。党から幹事長や選対委員長ら幹部に渡る「政活費」は領収書不要で使途の報告義務のない事実上の「裏金」として国民の批判を浴びたが、岸田自民党は先の通常国会で10年後の領収書公開、再来年1月1日施行時の具体策検討など実効性のないザル法(改正政治資金規正法)で合法的なものとして「温存」させたものだ。石破自民党も20億円もの「実弾」を準備して「裏金隠し総選挙」を目論んでいるわけだ。
 自民党内「野党」として期待を集めた石破氏だが、これらの前言撤回で、この4年の間に「モリ・カケ・桜」から裏金・脱税にいたる金権・腐敗疑惑で国民の批判を浴び、3回の「政権投げ出し」に追い込まれた安倍・菅・岸田政権の延長線上の政権でしかないことが明らかになった。もともと石破氏は、同盟国・同志国との連携強化、「アジア版NATO」創設や日米地位協定見直し、徴兵制・軍拡・改憲の推進など歴代政権の安保政策を継承・補強する「軍事オタク」として高名な人物である。石破首相がどんな詐術と「実弾」を使っても、それは「市民と野党の共闘」の新しい発展を導きだし、石破政権は遅かれ早かれ終焉を迎える。石破首相が「就任後わずか8日で解散」に追い込まれたこともその表れに外ならない。総選挙真っ最中の今月は、その道理を描いてみた。

管理  

- Topics Board -