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2024/11/16
<11月のまんが> 不倫など一糸乱れず赦しちゃう?   鈴木 彰

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「連合」主導の共産排除、政府の当初予算案に賛成した国民民主の共闘離脱、都知事選での石丸ブームによる分断攻撃など、数年がかりで執拗に仕組まれた「市民と野党の共闘」破壊は、立憲代表選で各候補に安保法制・立憲主義・暮らしと人権をめぐる「共闘の共通政策」否定の発言をさせ、これに怒るれいわに「オール沖縄」否定の行動をとらせるなど、共闘内に足並みの乱れを生じさせてきた。市民と立憲野党は総選挙に向けて、これらの問題についての十分な意見交換と合意形成を行なえないまま「超短期決戦総選挙」に突入せざるを得なかった。しかし裏金政治の真相を明らかにした「しんぶん赤旗」と共産党、「九条の会」をはじめ全国各地に蓄積してきた野党共闘の到達点などを力に、市民と野党は、直面した共闘の不全を補う新しいかたちの「直接・間接の共闘」を模索した。市民は自民党政治とたたかう個々の立憲野党へのサポート活動、「裏金・脱税自民党の議席を減らそう」「選挙に行って政治を変えよう」等の「ひとり街宣」運動をくり広げた。こうして第50回衆議院選挙は「与党議席の過半数割れ、改憲勢力議席の3分の2割れ」という画期的な国会を作り出した。国民の怒りと批判が「市民と野党の共闘」に発展する前に決着しようと就任8日後に石破新首相が仕掛けた「電撃解散・総選挙」は失敗したと言える。
 11月11日の特別国会は、決選投票で石破氏221票、野田氏160票、無効84票というかたちで第二次石破少数与党内閣を生んだ。維新・国民民主などが棄権票を投じた意図は「反自民」のふりをしながら石破政権の実現に協力することにあった。11日の朝、国民民主の玉木代表が「不倫しました、ごめんなさい」との突然の記者会見を行なったのには驚いたが、国会で28人の国民民主党議員が一糸乱れることもなく「玉木を総理に」という投票行動をつらぬき、自・公両党が翌12日に国民民主と「経済対策を巡る政策協議」を国会内で粛々と開催したのにはもっと驚いた。裏金や不倫などの不祥事を超えて、少数与党の弱みをカバーする「パーシャル(部分)連合」へのシナリオがすでに整っていたのだろう。今月はこの構図を描いてみた。
2024/10/13
<10月のまんが> どうしても世論の支持は得られない   鈴木 彰

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 9月27日の自民党総裁選で石破茂氏が総裁となり、10月1日の国会で第102代首相の指名を受け石破内閣が発足した。石破氏は先の総裁選で茂木前幹事長や小泉選対委員長をはじめ高市前経済安保相ら大半の候補者とともに政策活動費(政活費)の廃止や透明化を言う中で石破氏も「廃止も一つの考え方」と述べ、首相就任の記者会見でも、経済対策や防災体制の強化、地方創生などへの注力、「国民に勇気と真心をもって真実を語る」、「謙虚で誠実で温かい政治を行っていく」、「納得と共感の内閣をつくる」などと述べて、国民に少なからぬ期待を与えた。
 ところがこの石破首相、就任から8日後の9日に衆院解散・総選挙を断行し、まず「納得と共感」の公約を投げ捨てた。さらに解散当日の党首討論で「政活費」は今回の総選挙でも「法律で許されている範囲内で適切に使う」として前言を翻した。党から幹事長や選対委員長ら幹部に渡る「政活費」は領収書不要で使途の報告義務のない事実上の「裏金」として国民の批判を浴びたが、岸田自民党は先の通常国会で10年後の領収書公開、再来年1月1日施行時の具体策検討など実効性のないザル法(改正政治資金規正法)で合法的なものとして「温存」させたものだ。石破自民党も20億円もの「実弾」を準備して「裏金隠し総選挙」を目論んでいるわけだ。
 自民党内「野党」として期待を集めた石破氏だが、これらの前言撤回で、この4年の間に「モリ・カケ・桜」から裏金・脱税にいたる金権・腐敗疑惑で国民の批判を浴び、3回の「政権投げ出し」に追い込まれた安倍・菅・岸田政権の延長線上の政権でしかないことが明らかになった。もともと石破氏は、同盟国・同志国との連携強化、「アジア版NATO」創設や日米地位協定見直し、徴兵制・軍拡・改憲の推進など歴代政権の安保政策を継承・補強する「軍事オタク」として高名な人物である。石破首相がどんな詐術と「実弾」を使っても、それは「市民と野党の共闘」の新しい発展を導きだし、石破政権は遅かれ早かれ終焉を迎える。石破首相が「就任後わずか8日で解散」に追い込まれたこともその表れに外ならない。総選挙真っ最中の今月は、その道理を描いてみた。
2024/09/13
<9月のまんが> 美辞麗句で世論ごまかす総裁選     鈴木 彰

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 企業・団体献金による裏金づくりと脱税にまみれながら、大軍拡・大増税・社会保障破壊に向かって暴走し、8月7日には「緊急事態条項と自衛隊明記する9条改憲」を8月末までに論議せよと訴えていた岸田首相は、同月15日に政権を投げ出した。その金権腐敗と憲法蹂躙を許さない国民世論に追いつめられた結果だった。9月12日に自民党総裁選が告示され、これを最大限に持ち上げるメディアの波に乗った9人もの候補者が27日の投票日に向けて大騒ぎを演じている。彼らは、選択的夫婦別姓の導入、賃上げ「所得倍増」、防衛増税ゼロ、地方の活力アップなどの美辞麗句を臆面もなく掲げる一方で、政権投げ出しを招いた「政治とカネ」への反省を棚上げし、「国民が権力をしばる」「国の交戦権を認めない」などの「国民主権・立憲主義」に立つ日本国憲法を、「権力主権」の大日本帝国憲法に戻して、内閣支持率の低迷など気にせずに「軍拡と軍事支配」を欲しいままにする野望と渇望を隠そうとしない。今月は、9人が担ぐ美辞麗句のお神輿が、国民世論の批判との「相殺」を狙うものであることを描いてみた。
2024/08/10
<8月のまんが> 憲法を変えりゃ支持率怖くない?  鈴木 彰

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 8月の世論調査による岸田内閣の支持率は前月比3.9ポイント増の19.4%だった(時事通信)。3カ月ぶりに上昇に転じたとはいえ昨年12月から9カ月連続で1割台にとどまった。先月の都知事選での「小池百合子知事へのステルス支援」と「蓮舫野党統一候補への石丸刺客担ぎ出し」で、裏金と金権・腐敗を後押しする都政を実現して一息ついたのだろうが、内容が国民の切実な要求と噛み合っていないので、内閣支持率はとうてい回復しないのだ。そこで岸田文雄首相(自民党総裁)は党本部で開かれた憲法改正実現本部の全体会合(7日)で飛んでもないことを訴えた。「憲政史上初の国民投票にかけるとしたならば、緊急事態条項と合わせて自衛隊明記も含めて国民の判断をいただくことが重要だ」「8月末を目指して議論を加速してほしい」と主張。9月の総裁選に向けて「9条改憲」推進をアピールすることで、改憲派の支持を得ようというわけだ。同時に「緊急事態条項と自衛隊明記」等の改憲を急ぐことの本音は、「国民が権力をしばる」「国の交戦権を認めない」という「立憲主義」の憲法を、「権力主権」の憲法に変えてしまえば、どうしても浮揚しない内閣支持率など気にしないで「軍拡と軍事支配」を欲しいままにできるという野望と渇望が透けて見える。
2024/07/15
<7月のまんが> 百合三選 されど政権浮揚せず  鈴木 彰

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 7月7日投票の東京都知事選は、小池都知事に三選を許し、市民と野党の統一候補・蓮舫(れんほう)氏は及ばなかった。裏金・脱税、防衛費倍増、大増税によって内閣支持率が1割台に落ち込んでいて、とうてい候補者を立てることのできない自民党が、卑劣にも「二つの策動」を仕組んだのだ。第一の策動は小池知事への「ステルス(隠密)支援」だ。落ち目の自民党が公然と支援するのははばかられるので、こっそりと組織票を回す。先の国会で企業・団体献金禁止を回避して合法化した裏金もたっぷり添えられたに違いない。自・公票を保障された小池氏は、「公務」を口実に候補者間の公開討論を拒否し、「公務」内での選挙運動に明け暮れ、タヌキのように都民を化かした。第二の策動は、安芸高田市議会でのパワハラで名をあげた石丸氏を「蓮舫」斬りの刺客として担ぎ出したことだ。自民・財界の名士たちが選挙参謀となり、素性や新自由主義的なスタンスを隠した石丸氏が、政策抜きで蓮舫氏を叩き、その言動の「劇場受け」する部分を「切り取り動画」にして湯水のように拡散した。若者の支持が蓮舫氏に向かわぬように、キツネのように振る舞ったのだ。こうして小池氏と自民党が二人三脚で仕掛けた「争点そらし」のもとで蓮舫陣営は、無数の駅頭・街角・辻々で支持拡大の対話と「ひとり街宣」を繰り広げ、当初メディアが60%台に誘導しようとした「小池支持率」を43%まで追い込み、蓮舫氏の19%と石丸氏が野党陣営からもぎとった24%を合わせると小池氏と互角の43%という得票率に達したが、タヌキとキツネの化けの皮を剥がすには時間が足りなかった! この悔しさをバネに、都知事選後も浮揚しない岸田政権の姿を描いた。

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