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2024/07/15
<7月のまんが> 百合三選 されど政権浮揚せず  鈴木 彰

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 7月7日投票の東京都知事選は、小池都知事に三選を許し、市民と野党の統一候補・蓮舫(れんほう)氏は及ばなかった。裏金・脱税、防衛費倍増、大増税によって内閣支持率が1割台に落ち込んでいて、とうてい候補者を立てることのできない自民党が、卑劣にも「二つの策動」を仕組んだのだ。第一の策動は小池知事への「ステルス(隠密)支援」だ。落ち目の自民党が公然と支援するのははばかられるので、こっそりと組織票を回す。先の国会で企業・団体献金禁止を回避して合法化した裏金もたっぷり添えられたに違いない。自・公票を保障された小池氏は、「公務」を口実に候補者間の公開討論を拒否し、「公務」内での選挙運動に明け暮れ、タヌキのように都民を化かした。第二の策動は、安芸高田市議会でのパワハラで名をあげた石丸氏を「蓮舫」斬りの刺客として担ぎ出したことだ。自民・財界の名士たちが選挙参謀となり、素性や新自由主義的なスタンスを隠した石丸氏が、政策抜きで蓮舫氏を叩き、その言動の「劇場受け」する部分を「切り取り動画」にして湯水のように拡散した。若者の支持が蓮舫氏に向かわぬように、キツネのように振る舞ったのだ。こうして小池氏と自民党が二人三脚で仕掛けた「争点そらし」のもとで蓮舫陣営は、無数の駅頭・街角・辻々で支持拡大の対話と「ひとり街宣」を繰り広げ、当初メディアが60%台に誘導しようとした「小池支持率」を43%まで追い込み、蓮舫氏の19%と石丸氏が野党陣営からもぎとった24%を合わせると小池氏と互角の43%という得票率に達したが、タヌキとキツネの化けの皮を剥がすには時間が足りなかった! この悔しさをバネに、都知事選後も浮揚しない岸田政権の姿を描いた。
2024/06/13
<6月のまんが> あと出しのジャンケンだけが頼りなの    鈴木 彰

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 北朝鮮のミサイル実験には「Jアラート」、中国の軍事演習には「台湾有事」、沖縄辺野古の基地建設には「代執行」、マイナカードに協力しない医療機関には「通報とペナルティ」、子ども・子育て不安には「健保増税」、--国民を脅迫し、敵基地攻撃能力の保有、大軍拡・経済軍事化・軍需拡大・原発推進、軍拡財源確保のための大増税と社会保障切り捨てが強行されている。これらが国民のくらしと安全、日本経済の発展、平和と民主主義を足元から破壊している。腹立たしいのはこれらが、政党助成金と企業・団体献金の二重取り、政治資金パーティーなど「裏金づくり」による大脱税と一体のものであることだ。だから国民の怒りは、自公政権に「時効」を突き付けている。4月の目黒区長選、3つの衆院補選で自民党を全廃させ、とりわけ東京15区補選では、自民を候補者擁立もできない不戦敗に、都民ファーストの候補に9回も応援に入った小池都知事を惨敗させた。5月の港区長選でも自・公両党が推薦した現職を破り、港区都議補選でも自民の公認・推薦候補を敗った。・・・かくて、金権腐敗・強圧政治に固執する自民党政治が終焉を迎えている中で、7月7日に東京都知事選挙が行われる。半年以上にわたって都民と野党の共闘が模索され、5月27日に統一候補の擁立に成功した。これに対して現職都知事は、ぎりぎりの6月12日に「出馬」を表明。「あと出しジャンケン」の効果?と「時効」を迎えた自・公の応援を頼りにしているだけの彼女にはもはや大義がない。今月は「首都決戦」の構造について描いてみた。
2024/05/15
<5月のまんが> 企業献金死守の思いがつい漏れた    鈴木 あきら

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 5月12日放送の『日曜討論』(NHK)で、自民党の政治資金規正法改正に向けた法整備を担当する作業部会座長の鈴木馨祐(けいすけ)衆院議員が「選挙目的、党目的で官房機密費を使うことはありません」と断言した。官房長官以外はだれも知らないことを、根拠もなく「断言」した稚拙さには笑いを誘われてしまった。さらに彼が「再発防止の話と、自民党の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」と各党の発言を批判し。企業・団体献金や政治資金パーティーの廃止など、抜本的な改革をめざす野党各党案の狙いが「政局」にあると主張を展開したのには驚いた。この主張は、自民党内での論議を、つい公衆の前で漏らしてしまったものだ。だから自民党の「改革案」には、企業・団体献金や政治資金パーティーを禁止することが出てこないのだ。こんなに分かり易い話はないので、今月はこれを描くことにした。
2024/04/13
<4月のまんが> 国民に説明もなくヌケヌケと    鈴木 彰

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 一昨年(2022年)、ウクライナ侵略戦争を利用して、防衛費をGDP比2%に倍増し、自衛隊に敵基地攻撃能力を持たせるなど、日本の外交・安保を大転換する「安保3文書」を閣議決定した岸田首相は、軍拡財源確保・原発推進・くらしと福祉のデジタル支配、軍事産業の育成と武器輸出解禁、経済秘密保護法など、「安保大転換・大軍拡」を推進。この4月には、これらの「成果」を携えて国賓待遇でアメリカを訪問した。大統領選をめぐるバトルが続くアメリカだが、この手土産なら「バイデン」にも「もしトラ」にも歓迎されると計算しての訪米だが、実はこれにはもう一つの狙いが込められていた。企業献金による裏金づくり・金権・腐敗への政治不信が高まる中で、国民への説明も抜きで進められる「大軍拡・大増税」は、岸田内閣への支持率を大低落させ、何をやっても政権浮揚ができない。この危機を日米首脳会談で払拭したいとの狙いだ。首脳会談は、自衛隊・米軍の指揮統制の枠組み強化、米英豪の安保枠組み「AUKUS(オーカス)」への軍事協力、日米を軸とするフィリピン・韓国・オーストラリアなど「同志国」のつながりの強化、武器の共同開発・生産の拡大などを声明し、岸田首相は「米国は一人ではない、日本はともにある」と極上の笑顔をつくって胸を張り、バイデン大統領は「同盟発足以来、最も重要なアップグレードだ」と述べた。だがこれらは朝日新聞の社説(12日)が「説明なき一体化の加速」と評したように、いずれも国民と議会に説明されておらず、「国民の了解」抜きで政権浮揚が叶うとは考えられない。「バイデン」VS「もしトラ」の混沌たるバトルを視野に、どちらにも喜ばれるものとして、安倍氏ゆかりのスーパーマリオの縫いぐるみと「日本の安保大転換」を手土産に訪米した岸田さん。今月はその「哀愁」を描いてみた。
2024/03/16
<3月のまんが> なぜ飛ぶの?飛んでいないと落ちるから   鈴木 彰

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 3月の岸田内閣の支持率は、前月比1.1ポイント増の18%。2カ月ぶりに増加に転じたものの4カ月連続で1割台にとどまった(時事通信)。昨年末に労働組合組織率が16%台に落ち込んだこととともに、わが国の労働者・国民が信頼できる内閣と組織を持っていないことを表している。年明け早々の能登地震で震源地直近の志賀原発での油漏れ事故や避難路崩壊が、長年にわたる災害対策の手抜きに加えて13年前の福島原発事故の教訓を踏みにじる「原発推進」に舵を切った岸田政治・行政の誤りを明らかにした。内閣支持率の低迷は、防衛費倍増とその財源確保のための増税・福祉破壊、万博やカジノなど大企業のための開発への巨大な財政支出、そのもとで莫大な政党助成金を手にしているにも関わらず、政治資金とその「裏金」の獲得に耽ってきた政府・自民党への国民の審判に他ならない。いまこの政権が生き延びているのは、過去の選挙で「小選挙区制」等によって獲得した「虚構の多数議席」と莫大な政党助成金、嵩にかかった「裏金づくり」があるからにすぎない。これらの条件があるうちに「行けるところまで行く」というのが岸田内閣の戦略となっている。アメリカが沖縄と日本の空でのオスプレイの「飛行再開」を強行した姿になぞらえて、ただ生き延びるために暴走を重ねる岸田政権を「悪政ゴリ押しのオシプレイ」として描いてみた。

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